アシュタンガが生まれた南インド、マイソール市の顔、マイソールパレス
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ヨガのクラス、と聞いて大抵の人が思い浮かべるのは、生徒さんたちの前に先生がいて、先生がしたポーズを生徒全員が真似て、といった光景だろうし、それで概ね間違っていないと言えると思う。
でも、アシュタンガヨガの、本来の練習方法であるマイソールクラスの景色はそれとは違っている。
まず、生徒のやって来る時間がまちまち。
来た人から、黙ってマットを敷いて自分で練習を始める。
先生は、みんなの周りを見て回っていて、自分がポーズをとることはない。
ポーズの順番が全て決まっていて、生徒はそれを覚えて繰り返し練習する。
だから、みんなで一斉に練習する必要も、前で先生にデモンストレーションしてもらう必要もない。
もちろん、最初から皆がポーズの流れを覚えているわけではない。
始めてクラスに来た人は、まず、練習のはじめにすることになっている太陽礼拝を先生から習う。
息を吸いながら両手を挙げて、息を吐きながら上半身を倒して、と、動きと呼吸をひとつひとつ。
それを、繰り返し練習して、自分一人で出来るようになったら、先生が次のポーズを教えてくれる。
それが出来ればまた次のポーズ。
太陽礼拝から始まり、習ったところまでを日々繰り返し練習する。
そのようにしてひとつずつ、出来るポーズが増えていく。
クラスとして変わっている、と思われがちだけれど、実はそんなことは全くない。
私はこれとそっくりなお稽古事を身近に知っている。
私の母は、長らく生花の先生をしていたのだけれど、お稽古日には、生徒さんたちが三三五五やってきてお花を生け、生け上がったお花にそれぞれのアドバイスをもらって、また三三五五帰って行った。今思えばマイソールクラスと全く同じスタイルだ。
本来、先生から生徒への指導というのは、しばしばこんな風に、1人ひとりの違いや習熟度に合わせて、個別に行われていたはずなのだ。
ことヨガとなると、自分で練習を進めないといけないというので、初心者には無理だと思われることが多いのだけれど、実は真逆で、グループクラスのように、周りの人に合わせて動く必要が全くなく、その人の体力、柔軟性、筋力などに合わせて練習が進むから、ヨガをしたことのない人、身体を動かすことに慣れていない人でも問題なく続けられる。
それでも敷居が高い、と感じる人がいる。
それには、その人の、練習や学びへの向き合い方が関係すると思うのだけれど、そのお話はまた次に。
プラクティスについて書いた前回記事
http://yukkuritooku.blogspot.jp/2017/09/blog-post_22.html